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3.新たな国民病、慢性腎臓病の治療薬を初承認! (2) [健康]


(2)逆転の発想から生まれた「フォシーガ」


 フォシーガの一般名は「ダバグリフロジンプロピレグリコール水和物」で、
 SGLT2とは、腎臓による近位尿細管に特異的な発言するタンパク質で、日本
語では「ナトリウム・ブドウ糖共有相送体2」と呼ばれています。SGLT2の役割
は、ナトリウムとブドウ糖の再吸収です。SGLT2阻害剤は、その役割を阻害す
る作用を持っています。今までの医学的考え方では、ブドウ糖が尿に混じって排
出されるのは、良くない状態とされてきました。ブドウ糖が尿に混じって排泄さ
れることは、血中のブドウ糖濃度が高くなりすぎている。つまり血糖値が高いと
いう状況です。そのため、血糖値を下げるための飲み薬として、インスリンの分
泌を良くするもの、効きを良くするもの、食事で取った糖の糖の分解・吸収を遅らせ
るものなどが使われてきました。SGLT2阻害剤は、「糖が尿から排泄されること
は良くない」という考え方を見直し、「余分な糖分を積極的に排出する」という
逆転の発想から生まれました。副作用としては、脱水症状や尿路、性器の感染症、
低血糖などがあります。

 SGLT2は、余分なブドウ糖の排泄作用のほか、利尿効果、血圧低下作用な
どがり、腎臓の負担を減らす作用を持っています。臨床実験では、現在の標準
的な慢性腎臓病の治療方法と比べて、死亡や腎機能の悪化リスクが約39%低下
したことが分かっています。そして、今回、慢性腎臓病の適応としてSGLT2阻
害剤で日本初承認となったのです。(ただし、末期腎不全や透析施行中の患者は
適応対象外になります。)

 SGLT2阻害剤はいくつかあり、海外で慢性腎臓病の適応として既に承認され
ているものや承認待ちのものがあります。こうした薬品の承認が始まり、スタン
ダードな治療になっていくと予想されています。もちろん、新薬が承認されたか
らと言って、病気になっていいわけではなく、健康でいるために、予防をしてい
くことが大切です。



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