最初に彼女を見て思ったのは、着ている服が手作りだな、ということでした。 [経済]
パーティーで初めて会った瞬間から、フォレスターはバーバラに夢中になった。
バーバラが愛らしくてチャーミングだったのも事実だが、まずフォレスターの心を捉えたのは、
彼女の着ている服だった。
母親の手作りだったその服からは、慎ましい生活を送りながら全米屈指の名門女子大に娘を
入学させた両親の姿がはっきりと見てとれた。バーバラも彼女の両親も
正しい優先順位というものを持っている、とフォレスターは感じた。
一方、バーバラは農場育ちの質実さを持ったフォレスターに心を揺さぶられた。
二人には理想的な伴侶を選ぶ嗅覚があり、その選択が正しかったことは、三十五年の歳月が
過ぎた今、明らかである。
バーバラとフォレスターは似合いの夫婦であり、事業を経営していくのにも打ってつけの
コンビだった。
結婚すると早い段階で、二人は高価な消費財を買いそろえることをやめ、ビジネスへの投資
を優先させる生活を始めた。ビジネスこそ二人の最優先課題だったのだ。今日、二人が経済
的成功を収めているのも当然なのである。
服や新車などの高価な消費財に収入の大半をつぎ込んでいる世帯が裕福になったためしはない。
ステータス・シンボルの消費財を手に入れることに夢中になって、自分の事業や株式などへの
投資を怠っていては、誰もミリオネアなどにはなれはしない。バーバラとフォレスターはそう
した現実を、倹約家の両親から学んでいたのである。
結婚の誓いと洗車業の秘密 夫婦に共通の関心事
共通の関心事を持つ夫婦は別れないという傾向があり、結婚生活の長さは純資産額に
大きな影響をおよぼす。しかし、いくら共通の関心事があって、結婚生活を長く続けても、
それで自動的に資産が蓄積されるわけではない。
たとえば、稼いだだけ使うのが好きな浪費家の夫婦がいたとしよう。
この夫婦はショッピングという共通の関心事を持っているわけで、結婚生活は長続きする
かもしれないが、経済的に成功する可能性は少ない。
つまり、蓄財の鍵となるのは、「夫婦の関心事」の中身なのだ。「家計費の予算を立てる」
「投資計画・実行する」「経済的な目標を設定する」「事業を起こして運営する」といった、
蓄財に役立つ共通関心事かどうかが大きな意味を持つのである。
そうしたことに関心を持つ夫婦なら、億万長者への道のりも遠くはない。
そうしたカップルは、新たに車を買うときは所得ではなく、賢い投資から生まれた利益を
それに充てる。彼らにしてみれば、それが当然で懸命なやり方なのだ。
私は最近、モーターボートを二万三０００ドルで買ったばかりだという古くからの知り合いに
偶然出会った。彼の話しでは、ボートの購入代金は十年前に買った株の配当金のごく一部なのだ
という。
彼には十二年連れ添っている妻がいる。二人ともボートが趣味なのだが、同時に、一緒に家計を
切り詰める工夫をし、投資の研究をし、長い目で見た経済的犠牲も伴わないから、
いっそう楽しいものとなるのである。
実際、そのモーターボートは二人の自分たちへの褒美だった。
貯えるべき資産の目標額を超えたから、自分たちに褒美を与えたのである。
このように、資産形成に共通の関心を持つことが、金持ちになりたいカップルにとって
重要な鍵となるが、蓄財の最も一般的な方法は自営業者になることである。
たとえば、ファーガソン夫妻がそうだった。夫妻はどちらも大学を出ていないが、
大方の大卒者より裕福な資産家になった。夫婦は、ふつうの人より早く引退できるような
経済的基盤を築くことを目標に据えて、勤勉に働いてきた。
そんな二人は、自分たちの目標を達成するには、自営業者になるのがいちばんの近道だと考えた。
そして、どんなビジネスに乗り出すのがベストか、じっくり検討した。
まず、高い収益率を上げている職業カテゴリーを探し、そのなかで、他の人が儲かる商売だとは
おもわないような業種を選んだ。事実、二人の選んだ商売には、ほとんど競争相手がいなかった。
ファーガソン夫妻は私にこう言った。
あなたが前の本で、洗車業を一代で財を成した億万長者のビジネスの一つに入れてくださらなかった
ことに感謝しています。誰も気がつかなければ、それだけ都合がいいもので‥‥。本当のところは、
洗車業をやって一代で億万長者になった人はいっぱいいるんですよね。
人はよく私に、事業を始めるにはどのくらいの資金が必要かと質問する。
ほとんどの人がかなりの大金がいると考えている。億の金がいる、という具合だ。
しかし、ファーガソン夫妻はそうは考えない。
小さくとも効率のよい事業から始めればよく、多額の資金は必ずしも必要ではない、
という考えなのだ。
まずは手持ちの金、それも生活や支払いを考えて、最小限のお金と譲ってもらえるものはもらい、
小さく小銭を稼ぐ練習、現金を稼ぐ練習をして、必要な消耗材が買えるようになるが先、
もうちょっと仕入れを増やせるようにする。
自転車操業で少しずつ少しずつ忍耐を重ね、知恵を貯え、工夫をしながら前に進むしかない。
今は何をやってもダメなような気もする。昔の商売の発想では儲けないし、
安く売ることもできない、サービスも割引も、本当に商売がやりにくくなったなあ。
しかし、小さい金を稼ぐ練習、株式投資などいい練習になると思います。
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彼女の着ている服だった。
母親の手作りだったその服からは、慎ましい生活を送りながら全米屈指の名門女子大に娘を
入学させた両親の姿がはっきりと見てとれた。バーバラも彼女の両親も
正しい優先順位というものを持っている、とフォレスターは感じた。
一方、バーバラは農場育ちの質実さを持ったフォレスターに心を揺さぶられた。
二人には理想的な伴侶を選ぶ嗅覚があり、その選択が正しかったことは、三十五年の歳月が
過ぎた今、明らかである。
バーバラとフォレスターは似合いの夫婦であり、事業を経営していくのにも打ってつけの
コンビだった。
結婚すると早い段階で、二人は高価な消費財を買いそろえることをやめ、ビジネスへの投資
を優先させる生活を始めた。ビジネスこそ二人の最優先課題だったのだ。今日、二人が経済
的成功を収めているのも当然なのである。
服や新車などの高価な消費財に収入の大半をつぎ込んでいる世帯が裕福になったためしはない。
ステータス・シンボルの消費財を手に入れることに夢中になって、自分の事業や株式などへの
投資を怠っていては、誰もミリオネアなどにはなれはしない。バーバラとフォレスターはそう
した現実を、倹約家の両親から学んでいたのである。
結婚の誓いと洗車業の秘密 夫婦に共通の関心事
共通の関心事を持つ夫婦は別れないという傾向があり、結婚生活の長さは純資産額に
大きな影響をおよぼす。しかし、いくら共通の関心事があって、結婚生活を長く続けても、
それで自動的に資産が蓄積されるわけではない。
たとえば、稼いだだけ使うのが好きな浪費家の夫婦がいたとしよう。
この夫婦はショッピングという共通の関心事を持っているわけで、結婚生活は長続きする
かもしれないが、経済的に成功する可能性は少ない。
つまり、蓄財の鍵となるのは、「夫婦の関心事」の中身なのだ。「家計費の予算を立てる」
「投資計画・実行する」「経済的な目標を設定する」「事業を起こして運営する」といった、
蓄財に役立つ共通関心事かどうかが大きな意味を持つのである。
そうしたことに関心を持つ夫婦なら、億万長者への道のりも遠くはない。
そうしたカップルは、新たに車を買うときは所得ではなく、賢い投資から生まれた利益を
それに充てる。彼らにしてみれば、それが当然で懸命なやり方なのだ。
私は最近、モーターボートを二万三０００ドルで買ったばかりだという古くからの知り合いに
偶然出会った。彼の話しでは、ボートの購入代金は十年前に買った株の配当金のごく一部なのだ
という。
彼には十二年連れ添っている妻がいる。二人ともボートが趣味なのだが、同時に、一緒に家計を
切り詰める工夫をし、投資の研究をし、長い目で見た経済的犠牲も伴わないから、
いっそう楽しいものとなるのである。
実際、そのモーターボートは二人の自分たちへの褒美だった。
貯えるべき資産の目標額を超えたから、自分たちに褒美を与えたのである。
このように、資産形成に共通の関心を持つことが、金持ちになりたいカップルにとって
重要な鍵となるが、蓄財の最も一般的な方法は自営業者になることである。
たとえば、ファーガソン夫妻がそうだった。夫妻はどちらも大学を出ていないが、
大方の大卒者より裕福な資産家になった。夫婦は、ふつうの人より早く引退できるような
経済的基盤を築くことを目標に据えて、勤勉に働いてきた。
そんな二人は、自分たちの目標を達成するには、自営業者になるのがいちばんの近道だと考えた。
そして、どんなビジネスに乗り出すのがベストか、じっくり検討した。
まず、高い収益率を上げている職業カテゴリーを探し、そのなかで、他の人が儲かる商売だとは
おもわないような業種を選んだ。事実、二人の選んだ商売には、ほとんど競争相手がいなかった。
ファーガソン夫妻は私にこう言った。
あなたが前の本で、洗車業を一代で財を成した億万長者のビジネスの一つに入れてくださらなかった
ことに感謝しています。誰も気がつかなければ、それだけ都合がいいもので‥‥。本当のところは、
洗車業をやって一代で億万長者になった人はいっぱいいるんですよね。
人はよく私に、事業を始めるにはどのくらいの資金が必要かと質問する。
ほとんどの人がかなりの大金がいると考えている。億の金がいる、という具合だ。
しかし、ファーガソン夫妻はそうは考えない。
小さくとも効率のよい事業から始めればよく、多額の資金は必ずしも必要ではない、
という考えなのだ。
まずは手持ちの金、それも生活や支払いを考えて、最小限のお金と譲ってもらえるものはもらい、
小さく小銭を稼ぐ練習、現金を稼ぐ練習をして、必要な消耗材が買えるようになるが先、
もうちょっと仕入れを増やせるようにする。
自転車操業で少しずつ少しずつ忍耐を重ね、知恵を貯え、工夫をしながら前に進むしかない。
今は何をやってもダメなような気もする。昔の商売の発想では儲けないし、
安く売ることもできない、サービスも割引も、本当に商売がやりにくくなったなあ。
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タグ：自営業への道
